お米の「1等米」と精米の品質はどう違う?農産物検査の等級と米店の基準
「1等米」は玄米の検査結果、当店の「S〜D」は精米した白米の見た目の評価。似ているようで対象も評価者も目的も違う2つの“等級”を、米店の立場から整理します。
結論:「1等米」は玄米の検査結果、「精米の品質」は別の話
お米の袋や通販で見かける「1等米」「一等米使用」は、農産物検査法に基づく検査で玄米が「1等」に格付けされたという意味です。一方、当店の「精米品質AI判定」で出るS〜Dのグレードは、精米された白米の見た目を米店の基準で評価したものです。対象(玄米か精米か)、評価する人(登録検査機関か米店か)、目的(流通上の規格か、食卓に届く状態の確認か)がすべて違います。
農産物検査の等級とは
農産物検査は、農産物検査法に基づいて登録検査機関(JAや民間の検査機関)の農産物検査員が行う検査です。米の場合、主に玄米の段階で、品位(見た目の品質)・量目・包装・品種・産年などを確認し、品位について1等・2等・3等・規格外の格付けをします。
品位の格付けは、検査員が玄米のサンプルを目視・器具で確認し、次のような項目で判断します。
| 見る項目 | 内容 |
|---|---|
| 整粒歩合 | 被害粒・死米・未熟粒などを除いた粒の割合。水稲うるち玄米では最低限度が1等70%、2等60%、3等45%。整粒だけで等級は決まらない |
| 水分 | 水稲うるち玄米の規格表では各等級15.0%が最高限度。ただし附の規定で当分の間1.0ポイント加算され、16.0%となる。これは保管に適した水分の推奨値とは別 |
| 被害粒・死米・着色粒 | 被害粒・死米・着色粒などの混入を確認する。着色粒の最高限度は1等0.1%、2等0.3%、3等0.7%。未熟粒と被害粒は同じ分類ではない |
| 異種穀粒・異物 | もみ・麦など他の穀粒、石やわらなどの混入割合 |
つまり等級は「玄米として、流通上どの程度整った品質か」を示す規格です。産地・品種・産年と並んで、米の取引価格を決める重要な情報になります。
等級が示さないこと
- 食味(美味しさ):等級は見た目の規格で、味は評価していません。味の評価には、日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」(特A・A・A'・B・B')という別の制度があります。これも産地品種ごとの評価で、個々の袋の米の味を保証するものではありません。
- 精米後の状態:検査は玄米で行うため、その後の精米の仕上がり(糠の残り、削り過ぎ、割れの増加)や、精米からの日数による鮮度低下は反映されません。
- 保管・流通中の変化:高温多湿での保管による酸化や虫害は、検査後に起きるものです。
「1等米なのに美味しくなかった」という声があるのはこのためです。1等米は良い玄米である可能性が高いものの、食卓に届く白米の品質は、その後の精米と保管で大きく変わります。
米店が見る「精米の品質」とは
米店は、仕入れた玄米を自店で精米して販売します。そこで見ているのは、精米した白米が、お客様の食卓でどう炊き上がるかです。らいすぴあでは、白度・光沢・粒揃い・粒の充実度(外観品位)、割れ欠け・着色粒・乳白粒/未熟粒・異物混入(欠陥粒)、精米仕上がり・鮮度感・品種純度・炊飯適性予測(精米品質)の12項目で確認し、S〜Dの5段階にまとめています。
| グレード | 目安 | 向く用途 |
|---|---|---|
| S | 主要項目すべて90点以上 | 最高品質・贈答用 |
| A | 主要項目80点以上、光沢・粒揃いが良好 | 優秀・直売向け |
| B | 主要項目70点以上 | 良品・家庭用 |
| C | 一部項目に課題あり | 標準・業務用/加工向け |
| D | 要改善 | 出荷前に再精米・選別を検討 |
異物混入や大量の着色粒など致命的な欠陥があれば、他が良くてもC以下です。12項目の詳しい見方は「精米の品質を見分ける12のポイント」で解説しています。
違いを一覧で比べる
| 農産物検査の等級 | らいすぴあの精米品質グレード | |
|---|---|---|
| 対象 | 主に玄米 | 精米した白米 |
| 評価者 | 登録検査機関の農産物検査員 | 米店(近藤米穀店 らいすぴあ)。AI判定ツールはその基準を写真に当てる |
| 区分 | 1等・2等・3等・規格外 | S・A・B・C・D |
| 根拠 | 農産物検査法・農産物規格規程 | 店独自の基準(法的な効力や証明力はない) |
| 主な目的 | 流通・取引のための規格 | 食卓に届く白米の状態の確認、精米・選別の改善 |
| 食味の評価 | 含まない | 炊飯適性を外観から予測(直接の測定ではない) |
お米を選ぶときの使い分け
- 袋の表示で産地・品種・産年を確認し、「1等」などの等級表示があれば玄米段階の品質の目安にする
- 精米時期を確認する。精米から日が浅いほど鮮度が良い
- 買った後は白米の見た目(白さと透明感、割れ、着色粒、粒揃い)を確かめる。気になるときは精米品質AI判定で写真から12項目を確認できる
- 保管は密閉容器で冷暗所(夏場は冷蔵庫の野菜室が目安)に。精米後はできるだけ1か月以内に食べ切る
参考資料
2026年10月15日確認。農産物規格規程は令和8年7月30日施行版の国内産農産物を確認しています。
- 農産物規格規程(国内産・令和8年7月30日施行、20・22ページ)
- 農林水産省:農産物検査法及び関係通知等(現行の農産物規格規程)
- 農林水産省:玄米の検査規格(附の水分加算を含む)
- 日本穀物検定協会:米の食味試験
よくある質問
「1等米」とはどういう意味ですか?
農産物検査法に基づく検査で、主に玄米の品位(整粒の割合、水分、被害粒・着色粒・異物の少なさなど)が最上位の「1等」に格付けされた米という意味です。見た目の規格であり、美味しさを直接評価したものではありません。
1等米なら必ず美味しいですか?
必ずではありません。等級は玄米の見た目の規格で、食味や精米後の仕上がり、精米からの日数による鮮度は含まれません。良い玄米である可能性は高いものの、食卓での美味しさは精米と保管に大きく左右されます。
特Aと1等米は同じですか?
違います。特Aは日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」で、産地品種ごとの食味評価です。1等は農産物検査法に基づく個々の玄米の品位の格付けです。評価する機関も対象も異なります。
らいすぴあのS〜Dグレードは公的なものですか?
公的なものではありません。近藤米穀店 らいすぴあが精米した白米を見るために独自に定めた基準で、国の検査や証明の代わりにはなりません。
精米には国の等級はないのですか?
農産物検査には精米の規格も定められていますが、流通で広く使われる格付けは玄米段階のものです。店頭の白米の状態は、米店や消費者がそれぞれ確認することになります。